NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を利用した不正な銀行預金の引き出しが相次いだ問題で、紀陽銀行(和歌山市)は9日、被害が確認されたと発表した。同時に顧客の預金の安全性を確保するため、ドコモ口座新規利用時の「Web口振受付サービス」の利用を停止。万一身に覚えのない取引があった場合、取引店まで連絡するよう求めている。

 ドコモ口座は銀行口座を登録して、そこから入金・チャージをすれば、ネット上で買い物や送金ができるNTTドコモの電子決済サービス。このサービスで何者かが新たなドコモ口座を開設し、不正に取得した銀行の口座番号や暗証番号をひも付けて預金を引き出したとみられる被害が全国で出ており、ドコモは9日夜時点で34件、約1000万円分の被害が確認されたとして、連携している35の銀行全てで当面の新規登録を停止した。

 紀陽銀行では7日に顧客から「身に覚えのない利用がある」と問い合わせがあり、不正利用が判明。これまでの調査でドコモ口座の不正出金による数件の被害が見込まれるといい、被害の全容把握を進めると同時に、9日から当面、ドコモ口座に新規登録するサービスを停止している。また、現時点で銀行からの口座番号や暗証番号の情報漏えいは確認されていないという。

 同行はドコモ口座での本人確認として店番号や口座番号、生年月日、氏名、暗証番号を使っていた。今後、再発防止へセキュリティーの強化を検討。「万一、お客さまの口座に身に覚えのないお取引があった場合は、お取引店までご連絡をお願いいたします」と呼びかけている。

 問い合わせはハローサービスセンター℡0120―037―389。