田辺市湊の「あおい書店」代表の多屋朋三さん(75)が、紀伊国名所図会にオリジナルの彩色を施した「幕末の由良」を出版。石灰岩の白崎や興国寺が色鮮やかによみがえった。

 数年前から趣味として、パソコンソフトを使って色づけしている。紀伊国名所図会は江戸時代末期の1851年に発行され、県内各地域の風景図を白黒で紹介。由良町畑の長谷寺(ちょうこくじ)の岩上大真住職が多屋さんの幼なじみで、図会に長谷寺が載っていたことから由良町内の名所を色づけした。

 多くの船でにぎわう由良湊、興国寺を一夜にして建てたといわれる天狗の絵、船から白崎を観覧する様子、衣奈八幡宮など11枚に、当時を思い浮かべながら鮮やかに着色した。それぞれの絵に由良町の小田憲さんが解説を記している。

 25部作成。興国寺や長谷寺、由良町内の小中学校に配布した。多屋さんは「咲き誇る桜など当時をイメージしながら色をつけました。歴史や文化に興味を持つきっかけになれば」と話した。

写真=石灰岩に桜が咲くのをイメージした「白崎」