新型コロナウイルス対策で依然、マスク不足が続く中、マスクを手作りする人が増えている。ガーゼなどの布を使ったマスクで、洗って繰り返し使用できるのが特徴。作り方はインターネットで調べれば動画付きで見ることができるほか、御坊市内の手芸店では作り方のチラシを配布しているところも。印南町役場では職員に手作りマスクを推奨している。

 市販されている売れ筋のマスクは医療用などと同じ不織布(ふしょくふ)を使った製品で、優れたフィルター効果があり、現在、どこの店でも入荷すればすぐ完売となる状況。ガーゼなどのマスクは医療用と比べるとフィルター効果が薄いとされるが、着用しないより感染のリスクが減るうえ、再利用が可能で経済的なことから、手作りする人が急増中。政府が全世帯に配布する予定のマスクもこの手の布製マスクとなっている。

 作り方は専用の型紙と同じ大きさに布を切って縫い合わせて立体的な形にする方法や、市販のマスクのようにプリーツ(折りひだ)をつける方法などがあり、いずれもゴムを取り付ける。耳が痛くならないようゴムの部分にストッキングを代用する方法もある。布は無地から柄物までいろいろあり、おしゃれなデザインに工夫する人も。着物の端切れで和風に仕上げる人もいる。

 御坊市薗、毛糸・コットン専門店のヨコタを経営する横田耕三さん(65)は「マスク用のダブルガーゼ(二重構造)を販売していますが、入荷すると2日ほどで完売してしまうので、まとめ買いはご遠慮願っています。柄物は入荷しますが、白は5月ぐらいに入るかどうか。若い世代にはハイビスカス柄やヒョウ柄も人気です」と話している。同店では購入者にサービスでマスク作りの説明書を配布している。

 すでに30枚ほどマスクを作った日高川町皆瀬の主婦(73)は、「手縫いで慣れてくれば20分ほどで1枚出来上がります。マスクの上部にビニールタイを入れて鼻の形に固定できるようにしました」という。

 印南町では役場に一定のマスクの在庫があるが、あくまで来庁者や小中学生らへの配布用となっているため、職員や学校教員、学童関係者には手作りマスクを推奨。総務課の新井克矢さん(29)は「妻がユーチューブの動画を見て作ってくれました。着け心地はいいですよ」。庁内でいち早く妻の手製マスクを着用している日裏勝己町長は、「大変な時だが、みんなで気を引き締めて乗り切りたい」と話していた。

写真=印南町職員は手作りマスク推奨