中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の広がりを受け、県はコロナウイルスの検査や医療機関への問診票の配布といった態勢を整えている。28日には日本国内でヒト・ヒト感染の可能性がある日本人初の新型コロナウイルス感染者が確認され、感染拡大防止に向けて警戒を強化。御坊保健所も新型肺炎が疑われる場合、まず保健所や医療機関に電話で相談するよう呼びかけている。

 中国の保健当局、国家衛生健康委員会は28日、新型コロナウイルスに感染して死亡した人の数が106人になり、患者数も4515人になったと発表。このほか中国本土以外では、同日までに17の国と地域で77人の感染者が確認されている。

 県の新型コロナウイルス検査は、感染症の調査研究を行う和歌山市の県環境衛生研究センターで、新型肺炎を引き起こすコロナウイルスを検出する検査キットを準備。検査キットは新型肺炎の患者が国内でも見つかったことを受け、国立感染症研究所から全国の検査機関に配布された。のどの粘液や血液から採取した検体の遺伝子と比べて陽性か陰性かを鑑定。結果は2、3日で判明するという。

 対応・対策では、新型肺炎の疑いがある患者への問診票を中国語と日本語を併記して作成。保健所を通じて各医療機関に配布しており、武漢市の渡航・滞在歴や新型肺炎患者との接触の有無、発熱やせきの症状を確認する。また、医療機関から保健所への情報提供も通知。連絡票を配ってスムーズに情報の共有を図る。

 国立感染症研究所による新型コロナウイルス感染症の疑い例の定義は、①発熱(37・5度以上)かつ呼吸器症状がある②発症から2週間以内に武漢市への渡航歴があるか「武漢市への渡航歴があって発熱かつ呼吸器症状がある人」との接触歴がある――の2つを満たす場合。感染が疑われるときは保健所や医療機関に連絡するよう呼びかけている。

 県が宿泊施設への緊急措置検討 一方、県は中国人の団体旅行客のキャンセルで経営が圧迫された宿泊施設に対し、融資を行う緊急措置も検討中。インバウンド観光客のツアーを受け入れている日高地方の飲食店関係者は、「和歌山を訪れる外国人は中国の方ばかりではないので、閑古鳥が鳴くというほどの影響はないと思いますが、奈良でもヒト・ヒト感染が確認されましたし、二次、三次と感染の拡大が怖いですね」と話している。

写真=国立感染症研究所から届いた新型コロナウイルスの試薬について報道陣に説明する県環境衛生研究センター職員(28日、同センターで)