スマートフォンなどを操作しながら車を運転するいわゆる「ながら運転」が今月から厳罰化された。普通車の反則金はこれまでの6000円から1万8000円と3倍。反則点数についても1点から3点に引き上げられた。事故を起こしたり交通の危険を生じさせたりする違反については6点の減点。一発で免停となる。

 全国の交通事故件数は2004年の95万2720件をピークに年々減少し、18年は半分以下の43万345件。半面、「ながら運転」による事故は増加し、18年の携帯電話使用等に係る事故件数は2790件で、5年前の2038件から1・4倍に増えている。死亡事故につながったケースもあり、16年にはゲームをしながらトラックを運転し、男子児童をはねて死亡させたという事故も発生した。

 ただ、違反に該当する線引きが一般のドライバーには分かりにくいという声もある。例えば、「通話をしなくても携帯電話を手に持っているだけでもダメなのか」「スマホのナビ機能も使えなくなるのか」「運転中の飲食はどうなのか」など。

 しかし、車の運転は他人を傷つけてしまうリスクが少なからずあり、事故を起こさないように最善を尽くす必要がある。ハンドルを握る時は安全に対する意識を高め、運転に注意を注ぐことが最低限のマナーだろう。

 これから年末年始にかけては慌ただしくなる。事故の被害者となってかけがえのない命が奪われるのはつらい。逆に加害者になっても心の痛みは一生消えない。道路交通法の罰則の強化はドライバー自身のためと受け止め、一層の安全運転に心がけることが大切だ。(雄)