みなべ町の県うめ研究所が、梅栽培の作業省力化へ向けて今年度と来年度の2カ年で取り組むスマート農業導入に向けたプロジェクトで9日、リモコン式自走草刈り機などのスマート農機の実演会が同所で開かれた。

 同プロジェクトは、後継者問題など農業の労働力不足が深刻化する中、ICT(情報通信技術)やロボットなどを農業に取り入れる「スマート農業」を梅など果樹栽培に導入するための取り組み。

 実演会には県内の行政関係者や梅、ミカン栽培農家ら約70人が参加。リモコンでカートのような草刈り機を操作して実際に梅栽培ほ場で草刈りを実演。労力をかけずにスムーズに草を刈る様子に「これなら座ってお茶を飲みながらでもできる」「子どもにも遊び感覚で手伝ってもらえそう」などと好評だった。田辺市秋津町の梅農家の男性(45)は「いまはまだ手作業でできる作業も、10年、20年先を考えると体力的にしんどくなる。いまのうちからスマート農機に慣れておくのもいい」と前向きだった。

 同草刈り機は百数十万円の購入費が必要という。リモコン式運搬車やパワーアシストスーツの実演も含め、多くの参加者からは「ぜひ取り入れたいが、問題は高額な購入費。県などが補助してほしい」との声が聞かれた。同プロジェクトを中心的に担う同研究所の大江孝明主任研究員は「草をもっと短く刈れるようにしてほしいなど、さまざまな改良点の意見もいただいた。2年間の実証実験を踏まえ、実際に導入するためにどうすればいいか、しっかりと研究したい」と話していた。

写真=リモコン式自走草刈り機の実演を見学する参加者