舞妃蓮保存会(阪本尚生会長)主催、塩屋文化協会(溝口善久会長)協賛の「御坊市生まれの舞妃蓮と御坊市の花木はまぼう観覧会」が7日開かれ、花の季節を迎えている舞妃蓮とハマボウを実際に観賞し、講演で知識を深めた。日高川河口干潟のハマボウ群落については、日高高中津分校理科教諭の北又一弘さん(58)が「あの群生地は生物の宝庫で、ラムサール条約に登録できる価値がある。現在は台風の影響で流木の破片に埋もれ、貴重な生物が絶滅する危険がある」と指摘。保護の必要を訴えた。

 北又さんは前任校の紀央館高で、顧問を務めていた自然科学部の活動として、御坊市指定天然記念物のハマボウ群生調査に2010年度から取り組んできた。ハマボウ自体は栽培の難しい植物ではないが、日高川河口の群落は全国でもトップクラスの規模で貴重な存在。群生地の干潟は環境省の「日本の重要湿地500」に登録されている。

 北又さんは映像やデータを紹介しながら解説。「干潟には水質の浄化作用、生物の幼生の生育場、渡り鳥の休憩の場など重要な役割がある。ここの干潟はまさに水生生物の宝庫。私が生徒と調査している間にも、県内初確認の生物が3種類ほど見つかった。この場所をどう守っていくかが重要。以前はみられたのに最近確認できなくなったウラギクなど、絶滅してしまったと思われる生物も何種類かある。現在は昨年の台風による流木の破片が山積しており、取り除かないと埋まってしまう」と現状への懸念を述べ、「串本町のサンゴ群落が2005年にラムサール条約に登録されたが、日高川河口の干潟も和歌浦干潟、有田川干潟と合わせれば、近い将来にも登録される可能性が十分ある。行政と地域が連携すれば、登録への道が開けるはず」と訴えた。

写真=ハマボウの群生地について解説する北又さん(EEパークで)