日高地方青少年育成県民運動推進委員連絡協議会(熊谷重美会長)主催、「少年メッセージ2019」日高地方発表大会が2日、みなべ町東本庄、みなべ町保健福祉センターで開催。20人の中学生が学校生活や家族との触れ合い、自分自身を見つめて抱いた思いを発表し、湯川楓花さん(日高附属中3年)と鉢本雅さん(美山中3年)が優秀賞を受賞した。7月27日に橋本市で開かれる県発表大会に出場する。

 湯川さんは「輝きの芽」と題して、フィギュアの紀平選手ら同年代のアスリートが活躍するのを見て、自分には何もない、自分は駄目だと思っていたが、英語に関心を持って勉強を進めるうちに出会った本の一節を紹介。「なりたい自分になれるのは、ダメな私だと思っている今の自分だけ」という言葉に、考えを180度変えられた。輝く理想の自分の芽は、今現在の自分自身の中に眠っている。劣等感などに捉われず、好奇心や向上心を持ち自分自身を大切にして夢に向かっていこうと決め、「輝く自分を見つける第一歩を踏み出した。この旅の中でいろんな自分と出会っていく」と力強く決意を述べた。

 鉢本さんのテーマは「『私』という奇跡」。自身、先天性の筋肉の病気を持ち、小学5年生の時に手術を受けて障害者手帳を交付されてから、自分は何も変わっていないのに周囲の対応が急激に変化したこと、「できることもさせてくれないの?」と窮屈さに叫びたい気持ちになったことなどを「あの当時のことを思うと、なぜだか今も涙があふれます」と率直に述べた。家族以外に自分を支えてくれた3つの存在としてクラスメイト、主治医、本を挙げ、特に顔に障害を持つ少年を描いた小説「ワンダー」について「ぼくはふつう」という一文に出会い、「『これだ』と震えるような思いが湧き起こりました」。「病気がもたらす障害の基盤の上に今の私がいる。この世にこうして生まれた『私』という生きもの、すべての出会いは奇跡」と力を込めて訴えた。

 県の文集に掲載される奨励賞には柏木菫さん(丹生中2年)の「心をつなぐ」、矢口月菜さん(中津中2年)の「かっこいい『おばさん』」、五味優佳里さん(早蘇中3年)の「『いつもどおり』って」が選ばれた。アトラクションの上南部中生「紀州梅林太鼓」も好評だった。