筆者が記者になって初めて担当した地域が美浜町。1997年5月から2年間回らせてもらった。当時は御坊第二火力発電所計画の議論が真っ盛りで、「美浜町も当事者的立場で」や燃料の「オリマルジョン」など初めて聞くキーワードに苦戦しながら、一から勉強して必死の毎日だったことはいまでもよく覚えている。役場職員や地域住民も人当たりがよくて美浜町は非常に印象のいいまちというのはいまでも変わらない。ただ、地域活性化やまちおこしという分野に関していえばほぼ聞かれず、縁遠いまちというイメージを持っていたのも正直なところ。

 先日、機会あって美浜町のリノベーションスクール最終日のプレゼンテーションを取材した。美浜町も最近、地域ににぎわいを創ろうとする取り組みが盛んだとは本紙面を通じて感じていたが、実際に取材をしてメンバーの熱い思いには驚いた。地元住民、Uターン者、Iターン者、一般公募で参加した県外の若者が3班に分かれて、初めて会った者同士で意見を交わし、実際にある古民家などを活用した地域起こしのアイデアを提案したのは既報の通り。わずか3日間で練り上げたとは思えない斬新でユニークなプランばかりだった。

 それぞれのプランの実現を想像するだけで面白い。初期投資や運営、人集めなど越えなければならないハードルはたくさんあり、簡単にできることではないだろうが、「やらな何も変わらない」「これで終わりではなく、始まり」との思いをメンバー同士で共有していたのが、スクールの現時点での最大の成果ではないだろうか。わずかな時間だったが、20年前にはあまり感じなかった新しいエネルギーを感じ、何だかうれしい気分になった。(片)