sports(スポーツ)の語源はラテン語の「deportare」に由来するそうだ。インターネットで調べてみると、「日々の生活から離れること」という意味で、つまり「気晴らし」「休養する」「楽しむ」「遊ぶ」ということ。ところが近年ではスポーツ競技の勝敗に対する意識が過剰となり、本来の意味が薄れてしまいがちな面もある。
 少し前になるが、日本体育大学アメリカンフットボール部の危険タックルが問題になった。監督やコーチの指示があったかどうかなどが物議を醸したが、このプレー自体も勝ちにこだわりすぎるがゆえに発生したといえる。先日行われたサッカーワールドカップの日本とコロンビア戦でも前半3分に日本にペナルティキックを与えたコロンビアの選手に対し、SNS上で殺害予告が届く事態にもなっているという。こうなれば、スポーツの語源である「楽しむ」「遊ぶ」ということから掛け離れ過ぎてしまう。
 しかし、勝敗にまったくこだわらないというのもどうかという思いもある。スポーツは楽しくなくてはならないが、負けてばかりだと勝つ喜びを味わうことができないし、勝負に負けて悔しいからこそ努力につながる面もある。勝敗へのこだわりとプレーをすることの楽しさのバランスが重要で、どちらかに偏ってしまい過ぎると、スポーツを楽しむことができないのではないかと思う。
 日高地方では野球、サッカー、バレーボールなどのスポーツが盛んだ。特に子どもの場合は健全育成の場にもなる。夏休みには各地で大会が開かれる。笑顔でプレーしたり、涙を流して悔しがったり、チームメートと喜び合ったりと、本当の意味でスポーツを楽しみ、遊んでいる姿に期待したい。(雄)