「目に青葉  山ほととぎす 初鰹」。季節を感じながら季節の味を大切にする日本の食文化にあって、カツオは代表的なもの。ことしも旬に入り、食卓にはたたきや刺し身が並ぶのではないだろうか。
 先月25日、すさみ町で全国カツオまつりが初開催された。カツオ好きの筆者は「きっと全国のおいしいカツオ料理がいただけるに違いない」と思って当日会場へ。ちなみに高速道路を使ったが、田辺市以南の利用は初めて。御坊市からすさみ町までは1時間足らずで、快適なドライブにカツオへの期待も膨らむばかりだった。
 会場では全国のカツオの名産地や県内各地から特大の焼きガキや天然アユの塩焼き、マグロメンチカツ、サンマつみれ汁などのブースがずらりと並んで大盛況。それはよいが、肝心のカツオが見当たらない。ようやく見つけたのは宮崎県産のカツオの真空パックや瓶詰めの商品。「すさみケンケン鰹」の刺し身の振る舞いもあったらしいが、早々に終了したらしく、筆者が会場に到着した正午過ぎにはなかった。多彩なカツオ料理が楽しめると期待していただけに残念。もし筆者と同じような思いで京阪神方面からわざわざ来たような人がいれば、かなりショックだろう。 
 このイベントは、全国的にカツオの不漁が続いている現状を広く周知し、ブランド化を進めるのが目的。なるほど、だからカツオをあまり出さないようにして、希少価値の高さをアピールしつつ、消費者の購買意欲をあおる作戦だったのだろうか。結局、この日の帰りに御坊市内のスーパーでカツオを買った筆者。まんまと購買意欲を刺激されたわけだが、すさみ町にとってはそれでよかったのだろうか。(吉)