美浜町の森下誠史町長から「傍(岡)目八目」「よそもん、ばかもん、わかもん」という言葉がよく聞かれる。前者は「他人の囲碁を傍らで見ていると、実際に対局しているときよりよく手がよめること。転じて、第三者には、物事の是非、利・不利が当事者以上にわかること」(広辞苑)という意味である。町づくりで重要な人材が語られる際に出てくる後者の「3もん」の中に「よそもん」が入っているのは、まさに傍目八目の意味にある第三者の視点が必要だから。「よそもん」はしがらみ、先入観なく挑戦ができ、時には住民が思いつかない斬新なアイデアも持ち合わせる。
 美浜町ではちょうど2年前、内閣府の地方創生人材派遣制度を利用して元財務省キャリアが新規採用された。地方創生統括官の役職で、三尾地区再生や吉原公園周辺再整備などの地方創生事業に携わってきた。元財務省キャリアと聞いて、失礼ながらデスクでの仕事、補助金獲得に尽力するのが主だと思っていたが、着任後は積極的に現場に出て活動。就任の記事で紙面に掲載した「町内を歩いて地域の宝探しをしたい」という抱負の通りに活発に動き回り、三尾や吉原公園の魅力に再び光を当てることに成功した。町の期待以上によそもんの役割を果たせたのではないだろうか。
 31日付で2年間の任務を終えて退職される統括官から刺激を受けたことがいくつかある。一番は、上の立場(課長級)の人が現場で汗を流すことの大切さ。そうすれば、熱意が周囲にも伝わり大きな輪ができるということだ。役職だけで何もしない人には誰もついていかないし、事業が進むはずもない。物事に取り組む姿勢を勉強させてもらい、実りある出会いだったと思う。(賀)