国史跡の追加指定と有形文化財(建造物)の新規登録が18日に発表され、日高地方では熊野参詣道紀伊路の「塩屋王子跡」(北塩屋)と「愛徳山王子跡北東参詣道」(藤田町吉田)の2カ所が史跡に追加指定を受けた。有形文化財では御坊市薗、元酒造業「伊勢屋」の北蔵と南蔵が新たにに登録。塩屋王子と愛徳山は日高地方の熊野古道で初の史跡指定、伊勢屋は市内6カ所目の文化財となり、熊野古道や寺内町の保存、観光客アップにもつながると期待されている。 
 熊野参詣道は、霊場熊野三山への参詣のため平安時代から利用された道。紀伊半島西岸の紀伊路、同東岸の伊勢路、高野山と熊野三山を結ぶ小辺路に大別される。参詣道の一部は2000年に史跡指定されてから02、12、15、16年に順次追加され、今回は紀伊路の塩屋王子、愛徳山、田辺市の芳養王子跡の3カ所がさらに追加された。紀伊路では15年に海南市の藤白坂・藤白王子跡や広川町の鹿ヶ瀬峠・河瀬王子跡など3カ所7件が指定されており、今回の3カ所3件を含めて6カ所10件。日高地方にも参詣道や王子跡がたくさんあるが、史跡指定は初めてとなった。
 塩屋王子跡は境内に18世紀以降の石造物が残り、現在は塩屋王子神社として名残をとどめている。愛徳山王子跡北東参詣道は、王子跡の北東部に土道として149・6㍍が残存している。
 文化財登録制度は、1996年に創設。有形文化財は今回、県内で登録されたのは伊勢屋(田淵光彦氏所有)の2棟だけ。御坊市内の有形文化財は2014年に堀河屋又兵衛家住宅主屋・土蔵、堀河屋野村店舗兼主屋・土蔵・第一仕込蔵・第二仕込蔵・作業蔵が初登録。15年には伊藤家住宅主屋・離れ、佐竹家住宅主屋・離れ、なかがわ(旧中川家住宅)主屋・東蔵・西蔵が登録されており、伊勢屋の北蔵・南蔵を入れると6カ所16件目となる。