「おんぱく」という言葉がすっかり定着した御坊日高博覧会の最も大きな成果の一つは、高校生おんぱく部が生み出されたことだろう。若い世代が自分たちの住むまちの良さを知り、足りないものを感じ、どうすればいい方に向いていくのかを考える。自分たちは何をやりたいのか、成功するためには何をすればいいか、イベントの企画から準備、当日の運営などすべてを実践することは大きな意義がある。普段交わることのない大人たちとの関わりも含め、地域とのつながりの深まりは地元愛へと変わっていく。地方創生にとって最も大事なことの一つだろう。
 先日、おんぱく部1期生のOBOG4人と現役おんぱく部員との交流会が開かれた。大学生となった今もイベントのサークル活動に参加している1人は、おんぱく部で培ったノウハウが教科書になっているとの報告があった。地元を離れて感じた故郷の良さと課題では、沖縄県の大学に進学した男性から「和歌山の方が食べ物がおいしい。海、川、山といった自然も沖縄に負けていない。アピールの仕方に問題があるのでは」との意見も出た。観光立県をうたう行政関係者にはしっかりと受け止めてもらいたい。
 京都の大学に進学した女性からは、高校生と大学生が交流する機会が和歌山では少なすぎて、その大学に入ってみないとどんな校風か分からないとの言葉があった。都会では頻繁に交流の機会があるため、自分はこれをやりたいからこの大学を目指すという目的がはっきりしているという。進学している大学生と現役高校生の交流の機会を持つことを高校生おんぱく部の取り組みの一つに入れてみても面白い。情報化社会であっても、生きた情報は人と人の交流で得られる。 (片)