6月6日は「梅の日」。日本一の梅の産地みなべ町では、各地で関連行事が行われた。町内8小中学校の給食に梅干しおにぎりが登場したほか、スーパーなどでも梅干しおにぎりの仕入れ量を増やし、町内の宿泊施設でも観光客らに梅干しおにぎりを提供。健康維持に効果のある梅を広くアピールした。
 同町では平成26年10月に「梅干しでおにぎり条例」が制定、27年6月には「梅で健康のまち宣言」が行われた。「梅の消費拡大には、まず産地から取り組むことが大切」という声が上がり、昨年度から「梅の日に梅干しおにぎりを食べよう」という運動が展開されている。ことしも小中学校の給食のメニューで登場。おにぎりのご飯には以前から交流がある新潟県南魚沼市のコシヒカリが使用され、梅干しは町内5つの農業団体で組織するみなべアグリ5が提供した。
 おかずには鶏の梅酢唐揚げ、青梅ゼリーなど梅料理が多く並んだ。子どもたちはおにぎりを自分で握って味わい、上南部小学校の山下侑志君(5年)は「今日が『梅の日』ということは知っていた。梅が好きなので楽しみにしていた」と笑顔で話していた。
 鶴の湯温泉(熊瀬川)では「梅の日」の6日が定休日と重なったため、2日から5日まで宿泊客の夕食時に梅干しおにぎりを添え、従業員が梅の日の由来などを説明した。紀州南部ロイヤルホテルでは、昨年の梅の日に梅干しおにぎりを提供したことがきっかけで常時朝食バイキングで、ハチミツ、シソ漬け、かつおの3種類をメニューに入れている。和食調理担当の上野和成料理長は「多い日には200個ぐらい握ります。ハチミツが人気があるようです。お子さんや外国人の方にも抵抗なく食べていただいています」といい、千葉県から観光で来たという榎本弘子さん(65)は「きょうが梅の日ということは知らなかったが、梅はよく食べます。おばあちゃんから夏バテや食中毒の予防になるとよく聞いた。家でも梅干しや梅ジュースを漬けています」と話していた。
 1545年6月6日の室町時代、晴天が続いて作物が育たなかったため京都の賀茂神社例祭で後奈良天皇が梅を献上したところ、雷鳴とともに大雨が降った。人々はこの雨を「梅雨」と呼び、梅に感謝したという。この故事にちなみ、紀州梅の会が平成18年に日本記念日協会に6月6日を「梅の日」として登録した。