被災地の消防力だけでは対応困難な大規模災害の発生に際して出動し、現地で活動する緊急消防援助隊県大隊紀中ブロック中隊の訓練が25日、日高町萩原の日高広域消防本部南隣、㈲ワコー産業敷地内で行われ、日高広域と御坊市、有田地方の計5消防が参加。生き埋めからの救助救出や搬送の活動を本番さながらに展開し、万が一の事態に備えて連携や体制の強化を図った。
 A県で24日午前10時から午後3時にかけての局地的な短時間大雨で住宅地背後の山が崩れ、同時多発的に大規模な土石流があり、家屋の損壊や多数の生き埋めとともに河川の氾濫によって甚大な被害が発生。派遣要請を受けた県大隊が被災地に向かい、紀中ブロックはB地区で実践的な部隊運用を行うとの想定で、5消防合わせて車両11台、総人員42人が参集。訓練会場をB地区に見立て、救助救出や搬送の活動を実践した。
 現場に到着した日高広域の指揮隊はじめ各消防の救助・救急隊は素早く状況を確認。倒壊家屋から、土石埋没車両から、土砂埋没者の3カ所で救助救出活動を実施した。それぞれ草木、がれき、土砂を取り除き、生き埋めになっているダミー人形を救出。各現場指揮隊長の声が響くなか安全に配慮し、慎重かつ迅速に進めていた。被災者のプライバシー保護のためブルーシートで救助者を隠して搬送。設置したエアテント内で処置も行った。
 県消防長会(会長=出口博一和歌山市消防局長)の主催。出口会長は「情報伝達から救助救出まで迅速かつスムーズで各部隊とも熱心な活動だった。近年は大雨による土砂災害や河川の氾濫といった大規模な災害が増えている。より一層の相互連携を図り、隊として県下はもとより県外派遣の際には、一致団結して被害の軽減に努めてほしい」と講評。日高広域の山西良一消防長も「多発する災害活動においては即応性が求められ、大規模になるほど強い消防力が必要になる。訓練を通して相互の連携強化が図れ、被災地での迅速な人命救助につながるものと確信している。今後も一致団結した活動を行っていきたい」と協力を呼びかけた。