江戸末期から明治初期にかけてみなべ町内で行われていた人形浄瑠璃の道具が、上富田町の人形研究家の三谷弘さん(85)からみなべ町に寄付された。南部公民館の資料室で保管している。
 
 人形の着物やげた、台本など約10点。道具を入れる行李(こうり)には「南道稲荷座」と書かれ、げたにも「稲荷座」と記されている。当時、稲荷座は南道稲荷神社の地続きにある会所(現在の南道区会館)の建物を舞台とし、広場を板囲いして天幕などで屋根を張り上演。観客は土間に莚(むしろ)などを敷いて観賞していたという。
 北道区でも南道区と同じ頃に人形芝居が行われ、王子神社の宵宮で地区民によって演じられていた。