1月7日は五節句の一つ「人日(じんじつ)」。桃の節句や端午の節句ほど有名ではないが「人を大事にする日」で、古代中国ではこの日は罪人の処刑をしなかったという。現代日本では七草粥を食べる日として知られる
 我が家では昔、朝食は季節にかかわらず「おかいさん(茶粥)」だった。七草粥の習慣はなかったが、近年は七草もスーパー等で売られており、毎年つくっている。工夫もなく塩で味付けするだけだが、青菜のほのかな苦味が春を感じさせ十分おいしい
 正月料理で疲れた胃を休める意味があるというが、そもそもの由来を知りたいとネットで調べ、「七草粥の歌」というものがあると知った。「七草なずな 唐土(とうど)の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に ストトントン」とうたいながら包丁の背で七草をたたく。「日本の国」とはずいぶん大仰な歌詞だが、唐土とは広い意味での外国を意味する。昔は鳥が外界から厄病などを運んでくると信じられており、それを追い払う歌だという
  しかし外界からは悪いものばかりくるわけではない。1月7日に七草粥を食べる風習自体、古代中国と日本の風習が合わさったものである。島国日本は海を越えてきたものを柔軟に取り入れ、土地で育まれたものとうまく融合させ、豊かな文化を醸成させてきた。融和するためには自分を知り、相手を知る必要がある。人日は「人を大事にする日」。疲れた胃を労わる七草粥のように、相手を思いやることからそれは始まる
 ちなみに1月7日は、1年で初めて爪を切る「爪切りの日」でもある。この日、七草を浸した水に爪を入れ、やわらかくして切るとその年は風邪をひかないという。ことしまだ爪を切っていない方は、試してみるのも一興かもしれない。(里)