TPP(環太平洋経済連携協定)の大筋合意を受け、県は17日、TPP発効による県内農林水産物への影響額を独自試算した結果、農産物や畜産物、水産物など全体の年間産出額は最大で54・8億円減少するとの見通しを発表した。
 県内農林水産物のうち、最も影響が大きいのは温州みかん、中晩かんなどのかんきつ類で、TPP対策を何もとらなかった場合、年間産出額は最大で12・7%、35・7億円の減少になると試算。温州みかんについては、過去のウルグアイラウンド合意に基づくオレンジ輸入自由化時と同等(産出額10%減)の影響があると想定し、現在の産出額の1割の24・8億円減になると想定している。オレンジと競合するハッサクや甘夏、清見などの中晩かんは、協定締結から8年後には現行32%の関税が完全撤廃されることから、関税率と同程度の価格低下を想定し、生産量の減少も合わせて影響額は10・9億円になるという。
 無関税の輸入分が全国で7・84万㌧増えるとみられている米については、県内分の影響額は12・4億円。その他、牛肉や豚肉の畜産物は1・6億円、アジやマグロの水産物は1・7億円のそれぞれマイナスになると試算しており、県は16日、国に対して特に影響が大きいかんきつ類に関し、オレンジの関税が完全撤廃されるまでの強化対策として、園地改良等の生産性向上による低コスト化、新品種開発など高品質化による価格向上などに総額183億円分の支援を要望した。
 仁坂吉伸知事は17日の定例会見で、「全国的にも和歌山県内も、TPPによる影響が最も大きいのはかんきつ類であり、和歌山県はリーダーとして活動しなければならない。伊東良孝農水副大臣に生産性向上の施設整備支援や高品質化による価格アップの対策を要望したところ、『たいへんよく分かります』と答えていただいた。今後も自民党の果樹議連や県内選出国会議員にもお願いし、かんきつ類への悪影響を除去したい」などと述べた。