みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会(会長・小谷芳正町長)が「みなべ・田辺の梅システム」で登録を目指している世界農業遺産(GIAHS)の可否が、12月15日に決定する。これまで日本からの申請はすべて認定されており、小谷町長も「認定されれば梅を世界に売り出すきっかけになる」などと期待。発表当日は、地元でセレモニーの開催も検討している。
 世界農業遺産は次世代に伝統的な農業・農法などを継承するシステムで、国連食糧農業機関(FAO・イタリア)が認定する。現在は世界31地域、国内では石川県能登半島(能登の里山里海)、静岡県(静岡の茶草場農法)など5地域が認定を受けている。
 同協議会が申請している梅システムは、養分に乏しい礫質の斜面を梅林として利用し、周辺に残した薪炭林に生息するニホンミツバチと梅の共生などを有効活用して高品質な梅を持続的に生産する仕組み。すでに国内審査をパスし、12月14・15日にイタリアのローマで開かれるGIAHS運営・科学合同委員会で最終審査が行われる。日本から申請している3件(みなべ・田辺地域、岐阜県長良川上中流域、宮崎県高千穂郷)は、2日目の15日に審議される。当日は現地でプレゼンテーションが行われ、審査員が登録の可否について決定し、同日に発表される見込み。
 みなべ町などの梅産地では、登録をきっかけに地域の活性化に結び付けたい考えで、小谷町長は「仮に登録されれば、梅製品を海外に輸出するきっかけになる。世界農業遺産の地で生産された梅ということも国内外でアピールできる。訪日外国人が増加している中、外国人らを観梅に呼び込むこともできる。各種団体や企業などと協力しながら活用を考えていきたい」と話し、うめ課の林秀行課長も「認定されれば世界が梅を認めたことになる。梅干しは日本の食文化の代表的な食品で、機能性を世界に発信できる」と期待している。静岡県の茶草場農法が平成25年に登録されたことで、茶の販売が2割増加したというケースもある。みなべ観光協会では、6日から8日まで「里山里海」で世界農業遺産に登録されている石川県能登を視察する。
 5月に行われたFAOの現地調査では、調査員を務めた地球環境学研研究所の阿部健一教授らが「優れた農業システムということを実感した」と感想を述べるなど好感触だった。