以前は日本社会にあまり馴染みのなかった「ハロウィン」だが、ことしは例年以上の盛り上がりを見せたようだ。もうすでに秋の恒例行事に仲間入りしたとみていいのだろうか
 ハロウィンの特徴は、①お化けカボチャの「ジャック・オー・ランタン」というメーンキャラクターがいる②「トリック・オア・トリート(ごちそうしなけりゃいたずらしちゃうぞ)」という「決め」のフレーズがある③仮装行列というイベント性がある――。年中行事として受け入れられる要素はちゃんと備わっている。季節の行事は、食べ物との関連があれば定着しやすいという。ハロウィンのカボチャは食べるためのものではないが、イメージ的につながればOKなのだろう
 それにしても、今なぜこんなに盛り上がってきたのかと不思議に思いながら渋谷の仮装行列のニュースを見て、江戸時代末期の「ええじゃないか」を連想した。社会不安がお祭り騒ぎを求めさせるのだろうか、と。しかしその翌朝には、渋谷の道路は参加者やボランティアの手で美しく清掃されて日常に戻ったとの報道を見た。闇雲に騒ぐばかりでなく、日本社会はこのお祭りを、理性的に自分たちのものにしつつあるのかもしれない。秋の楽しいイベントが一つ増えるのを皆が認めたということだろうか。当地方でも、ハロウィン関連のイベントがいろいろ行われた。気持ちを明るく浮き立たせる機会は幾つあってもいい
 このほか日本であまり普及していない西洋の行事としては、きれいに色付けしたゆで卵を隠して遊ぶ「イースター(復活祭)」があるが、これから日本で注目されることはあるのだろうか。日本の春は花見など楽しい行事が多いから、その必要はないかもしれない。(里)