平成27年秋の褒章受章者が決まり、日高地方からは四半世紀以上にわたり保護司を務めてきた入江喜一さん(76)=美浜町和田=が更生保護功績で藍綬褒章に選ばれた。県内では社会奉仕活動、業務精励などで入江さんを含めて黄綬4、藍綬4、緑綬1の9氏と緑綬1団体が受章。入江さんの伝達、拝謁は今月13日に東京都で行われる。
 入江さんは元県教育委員会職員(学校事務)。箕島高校事務長時代の50歳のときから現在まで26年間保護司を務め、犯罪や非行をした人たちと定期的に面接を行い、更生を図るための約束事を指導したりする保護観察、犯罪予防などの各種活動に献身的に従事してきた。
 「生まれてきたときはみんな純真無垢。たまたま間違って罪を犯しただけ」。保護観察活動では中学生から60代までの男女15人ほどを担当したが、対象者には常に「更生を信じる心」を強く持って接することを心がけた。社会復帰の際には「二度とこんなことで再会することがないようにしよう」と一人一人と固い約束を交わしたといい、親身になって使命を果たしてきた。
 平成元年夏のどしゃ降りの雨の日、当時の町長から依頼があったことをきっかけに保護司になり、長年の活動では「とくに困ったことはなかったです」と振り返る。26年間には「こんな仕事に就きましたと、名刺を持って自宅へ来てくれたりもしました」、また「私の落とし物を偶然にも見つけて、届けてくれたこともありました」などのエピソードもあり、自身がかかわった人たちの順調な社会生活の知らせをやりがいに活動を続けてきた。
 犯罪予防活動では日高保護司会、美浜町保護司会のメンバーとして、町更生保護女性会とも協力しながら薬物乱用防止啓発などに尽力。非行防止講演会の開催にも携わった。
 県教委職員時代には御坊商工(現紀央館)の野球部監督として活躍、みはま養護学校(現みはま支援学校)の開校準備を担当。平成12年3月に定年退職後は町教育長を1年半ほど、町助役(副町長)を8年間務め、学校・社会教育振興、町勢発展に多大な功績を残した。これまで県教育功労賞、法務大臣表彰などを受賞している。
 今回の受章については「いろいろなことをやらせてもらいましたが、周囲の皆さんに恵まれ、助けてもらったおかげで大過なくやってこれました。少しは人のお役に立てたのかなという思いで、大変光栄です。残された保護司の任期をきっちり務めたい」と話している。