日本最短のローカル鉄道として全国のファンから親しまれている、JR御坊駅と寺内町を結ぶ紀州鉄道に、新しい車両が導入されることが決まった。滋賀県の信楽高原鉄道で運行している気動車を譲り受けることになり、今月中にも車両が御坊に到着。現在運行のレールバスより4㍍長くなり、車内も対面座席が多くゆったりと座れるのが特徴。検査等を受け、早ければ年内にも運行をスタートさせる。
 紀州鉄道は現在、キテツ―1号と同2号の車両2台があるが、老朽化した1号は高額な検査を受けずに休車しているため、半年前から2号の1台だけで営業運行しているのが現状。紀州鉄道としては、2号に万が一の故障等が起これば営業運行できなくなるため、新しい車両の導入を模索していた。信楽高原鉄道が新しい車両の導入に伴い、1台を廃車にする計画があることが分かり交渉を重ねて今回の無償譲渡が実現した。すでに契約済み。御坊にやってくる車両は、SKR301号で、キテツ1、2号よりも車体が4㍍長く16㍍あり、幅もわずかに広くなる。これまでは両サイドにベンチシートがあるだけだったが、SKRはJRの電車のように4人掛けの対面座席がほとんどで、ベンチシートも少し設けている。定員はキテツが88人、SKRは94人と6人増えるだけだが、「キテツは立ったまま乗車することが多く、雨の登校時などはリュックや傘などの荷物もあって定員いっぱいまで乗れず、数人が乗車できずにバスで学校に向かうこともあった。SKRは座席が多いのでゆったり座れるし、定員いっぱいまで乗車でき、最も混雑する雨の登校時も全員を運べそう」と期待を込めている。
 SKR301号は今月3日がラストランで、御坊には20日前後にトレーラーで運ばれる予定。その後は検査等を受け、早ければ年内にも運行を開始させたい考え。初日にはセレモニーを行うことも検討している。デザインは信楽焼を象徴するタヌキのイラストが入っているが、御坊到着後は紀州鉄道風に少し色を塗り直すことにしている。紀州鉄道㈱御坊事業所の佐納雄彦所長は「念願の気動車。譲渡いただき本当にありがたい。車輪もキテツの2倍の8輪になるので乗り心地も良くなる。市民の足として末永く頑張っていきたい」と話している。