住宅新築資金等貸付制度改善対策県協議会の会長を務める御坊市の柏木征夫市長は8日、県議会の人権・少子高齢化問題等対策特別委員会(中村裕一委員長)の委員と市長室で懇談し、同制度に対する県の補助要件等について改善を強く要望した。県内の滞納額は54億円(25年度)となっており、各自治体が毎年肩代わりして支払っているのが現状で、柏木会長は「自治体の負担を少しでも減らす方策を検討してほしい」と訴えた。
 同貸付金制度は、同和対策事業の一環で住宅の新築や改築、土地取得等の資金を、市町村が国や県から借り受けて借主に貸し付けた制度。県は昭和46年、国は昭和51年から貸付をスタートさせ、いずれも平成8年度で終了している。
 最長25年で償還となっているが、借主の高齢化や病気、死亡、生活苦といった理由で滞納が多く、その分は各市町が肩代わりして国や県に毎年償還している。滞納額はピークで60億円を超えていたが、協議会とは別に、県内9市町(日高地方は御坊市とみなべ町)で平成21年に県住宅新築資金等貸付金回収管理組合(管理者・柏木征夫市長)を設立し、協働で回収を進めて年々減少。それでも25年度末の滞納額は県内で54億円(内訳は国費分31億円、県費分23億円)に上っている。このままだと、最終の償還期限となる平成35年ごろには、国20億円、県17億円の滞納が発生する見込みとなっている。
 問題なのは、国や県が進めた事業にもかかわらず回収は各自治体任せで、さらに滞納金に対する補助要件が国と県で違っていること。国は回収にかかる事務費に対して4分の3を補助、さらに死亡や自己破産、相続放棄など回収が難しい場合に対して残金の4分の3を補助し、補助後も回収を続けてよいとしている。一方、県は事務費に対する補助はゼロ、さらに回収が難しい場合に対しては、それ以上回収をしない債権放棄することを条件に残金の2分の1の補助となっている。
 これらを背景に、懇談会で柏木会長は「県の補助要件を緩和して国と同じにしてほしいとこれまでも要望している。本来なら制度を進めた国、県が責任をもって対応すべきだが、このままでは平成35年に17億円の滞納金の半分が県補助、残り半分は各自治体が負担しなければならない。どうか自治体の負担を少しでも軽減する施策をお願いしたい」などと要望した。中村委員長は「委員会としてこれから国に陳情にいく。償還終了まで国庫補助制度の継続などを要望していく」などと話した。