鹿児島県の屋久島の西にある口永良部島で29日朝、爆発的噴火が発生し、火砕流も海岸まで到達した。噴煙は上空9000㍍以上にもなり、新聞報道の写真を見れば規模の大きさが分かる。昨年9月に多数の犠牲者を出した御嶽山の噴火、ことしに入ってからも箱根山での火山活動など相次いでおり、活動期なのかと心配になる。東日本大震災以降、地球の内部で何かが起こっているのではと勝手な推測をしてしまうのも無理はない。だからこそいつどこで何が起こるか分からない、そんな意識を高めなければと思う。
 口永良部島での噴火では、けがや体調不良で病院に搬送された人はいたが、幸い犠牲者はゼロだった。昭和以降だけで10回近くの噴火を繰り返してきており、教訓が生かされたことが被害を最小限にくい止めた一つの要因だという。昨年8月に噴火して以降、島唯一の学校では教諭の車を校舎脇に止めて迅速に避難できるように普段から準備していたほか、避難場所の見直しも行い、地区ごとの避難ルートを作成していたことも奏功した。日ごろの備えがいかに大切かが分かる。
 近い将来に南海地震等の発生が懸念されている日高地方では、津波に対する危機意識は高いといえるが、災害は地震だけではない。身近な脅威でいえば、これから梅雨から夏場にかけて多発する集中豪雨による被害も十分予想される。避難勧告や指示が出たとしても、道路にも水があふれてきた場合どのルートで避難するのか、自宅や会社の2階でいる方が安全なのか、各自の判断力が求められる。とっさの判断ができるかどうか、やはり普段から考え、備えをしておくことに尽きるだろう。(片)