自民党総務会長の二階俊博代議士が率いる日中観光文化交流団が、22日から中国を訪問。23日には北京市内の人民大会堂で日中文化観光交流の夕べが催され、約3200人が参加した。中国側からは習近平国家主席が出席し、二階氏とがっちり握手を交わしながら、「たゆまぬ努力で両国の友好関係を築いていきたい。若い世代の交流で友好の種をまき、大木に育てよう」と誓った。
 交流の夕べでは習主席と二階氏が笑顔で壇上に登場し、まず習主席が「友あり遠方より来たる、また楽しからずや」と故事を引用しながら「中国政府、そして個人としても歓迎申し上げたい。参加された皆さんを通じて日本国民に心からのごあいさつをしたい」と熱烈歓迎。さらに仏教や文化、科学技術の面で相互に発展を促し、中国初代国家主席の毛沢東や田中角栄元内閣総理大臣ら両国の古い指導者の政治的知恵で数々の困難を克服して平和友好条約を締結したことなどを紹介し、「両国関係に新時代を築いてきたことは歴史が証明している。両国民の誠意と友好、そして徳をもって隣をなすようにしさえすれば、必ず世代をわたり友好を実現することができる。中国は中日関係改善を基本方針とし、これからも変わらない」と述べた。また、「戦争を忘れないことは、平和を擁護するためである。中国は抗日戦争が終結したあと、100万人の日本人が帰国するのを手助けし、数千人の日本残留孤児を育て、中国人民の心の広さと大きな愛を示した。両国は歴史を鑑に未来へ向かうという精神に基づき、協力することが必要」と付け加えた。最後に「中日友好の根本は民間にある。こんな時こそ民間の交流を強化しなければならない。とりわけ若い世代の交流が大切。友情の種をまき、大きな木に育て、うっそうと茂る森になるまで成長させよう」と締めくくった。
 二階氏は「習国家主席が臨席の下、盛大な歓迎レセプションをうれしく思う」と感謝し、「その時々の政治情勢に左右されない、民間レベルの深い関係が大切。これまでも同志が両国の観光、地方間、青少年の交流に全力を尽くしてきた。今回も信念に基づき日本から自らの意思で参加したことに民間大使の意義がある。どんな時も交流を途絶えさせてはならない」とあいさつ。また、「海南島に100人の青少年を連れてうかがった時は、中国に温かい配慮をいただいた。日中友好に青少年の交流が必要で、この際、中国側から500人を招待したい」と提案。このほか、11月5日を「世界津波の日」にすることについて「この場で習国家主席や幹部の皆さんにも理解をいただきたい」として大きな拍手を受け、「習国家主席がきょうの会場に足を運んでくれたことを胸に刻み、あいさつの意味を理解して我々も努力を誓いたい。世々代々、子々孫々まで日中友好を」と呼びかけ、安倍晋三首相の親書も手渡した。
 このあと、壇上では、二階氏と中国の李金早観光大臣が日中友好に向けて合同で揮毫した書も披露されたほか、画家の絹谷幸二氏が「観光、文化、地方間交流でさまざまな活動を展開し、両国交流の起爆剤に」などとする日中両国民間交流宣言も読み上げた。最後にあらためて壇上に立った二階氏は「中国から経済協力もしていこうという提案があった。日中経済協力機構を発足させる」と報告があった。
 参加者には中華料理が振る舞われ、ステージでは北京歌劇舞劇院の太鼓演奏や中国雑技団の空中コマなど多彩な伝統芸能が披露されて盛り上がっていた。