新聞記者と言う比較的文字を扱う仕事をしているが、基本的にパソコンを使って記事を書いているせいか、漢字があまり得意でない。困るのが取材でのメモ。一般的な取材はひらがなでも問題ないのだが、名前を尋ねる時は漢字で書き、見てもらって確認するのだが、そんなときに限って思い出せなかったりする。以前「はいけい」の「けい」と言われた際、「背景」の「景」と思ったら、「拝啓」の「啓」だったなどということもあったので、やはり見てもらうのが確実。最近は子どもの名前に常用しないような漢字もあるので、ペンを渡して書いてもらうこともある。
 日本漢字能力検定協会は2014年度の漢字受験者の合格データをまとめた。受験した208万8470人の合格率を小学生、中学生、高校生の3つに分け都道府県別に発表。和歌山県は小学生で全体平均より下回ったが、中学、高校生では上回った。気になったのは小学生で1位で、中学、高校でも平均を上回った福井県。理由としては漢字学専門の白川静氏(1910~2006年)の出身地ということで、漢字教育に力を入れているという。
 白川氏は、従来の漢字解釈を覆し、中国の古代人の生活と意識にまで踏み込んだ独自の「白川文字学」を確立した。たとえば「道」という漢字の中になぜ「首」が入っているのかについては、見知らぬ民族が住む異郷の地へ踏み入る際、邪悪な霊を押さえつける霊力を持つと言われていた戦で手に入れた「人間の首」を持っていたことが由来だという。
 以前、「記憶力アップのコツは意味付け」という講演を聞いたことがあるが、漢字も同じなのだろう。よく間違える漢字は一度成り立ちを調べてみてはどうだろう。    (城)