巨大地震、津波対策で御坊市名屋東・西地区の女性有志らでつくる防災女性の会(龍田壽会長)は、塩屋町北塩屋地内の高台にある民間企業の倉庫を借りて、地元住民の非常食や防寒具など防災関連の備蓄庫として活用を始めた。名屋などには高台がない中、もしもの場合、身軽に素早く逃げられるようにとの工夫。女性ならではの視点で同会有志が購入した簡易トイレ80セットも運び込んだ。
 同会では回覧を回して会員や地元住民に倉庫での備蓄の希望を募ったところ、18軒から希望があった。それぞれ段ボール箱に防寒具、雨具、肌着、保存食、ビスケット、電池、ラジオ、懐中電灯などを詰めて倉庫内に運び込み保管している。また、同会有志が簡易トイレのほか、トイレットペーパー96ロール、ティッシュ60箱、5年間保存可能の水(500㍉㍑)96本も購入して、倉庫に入れた。通常、災害発生時には日ごろから非常食などを詰めたリュックなどを持って逃げるが、あらかじめ高台に保管しておけば手ぶらで避難することができる。備蓄品を預けた人は「安心できる、ありがたい」「身一つで逃げられる。気が軽くなった」などと喜んでいる。倉庫は民間企業から借りたが、防犯上、詳細な場所や企業名は公表していない。
 龍田会長は「関係者の協力で高いところに防災倉庫を借りれてありがたいです。『これで安心』ではなく、家具転倒防止対策や避難訓練などを続けていきます。地元に避難タワーもほしいですね。備蓄庫にはまだ空きがあります」と話している。同会顧問で防災士の二階俊樹氏は「今回、備蓄をするにあたり、地区内への回覧や話し合いなどを通じて備蓄のあり方や中身、避難方法などを1人1人が考えたこともよかった。これらを通じて助けられる側から助ける側にいく人数が増えて地域の防災力アップにつながる」と話している。