ことしは例年にないほど寒い中での入学式になった。寒の戻りで日高地方もここ数日は1枚多めに羽織る人が目につき、春らしさはあまり感じられなかったが、少し大きめの真新しい制服姿で登校する小中高校生の姿を見ると、やはり4月なんだと感じさせてくれる。新入生の皆さんはこれまでとは違う環境に不安や戸惑い、そして大きな期待とさまざまな思いを胸にしていることだろう。一日も早く新生活に慣れ、友達と学校生活を楽しみ、何かやりたいことを見つけてチャレンジしてほしいと思う。
 この入学シーズン、東北の被災地、福島県では新しい高校が開校した。福島第一原発から20~30㌔にあり、住民の6割以上が避難を続けている広野町に出来た「ふたば未来学園高校」である。1期生152人のうち約100人が地元出身者で、故郷への思いが感じられる。世界で活躍する人材を育成する文科省の「スーパーグローバルハイスクール」に指定されており、大学進学を目指すコース、サッカーなどスポーツコース、福祉や商工業などの資格を取得できるコースの3つの特化された分野がある。有名人も講師陣に名を連ね、ことし40歳になった筆者でも魅力を感じる学校である。
 少子化で日高地方の各学校は児童生徒数が年々減少し、とくに中学校は深刻でクラブ活動を含めて子どもたちの選択肢が狭まっている。この止められない時代の流れの中で、いかに選択肢を増やしていくかは大きな課題であると同時に、知恵を絞るいいチャンスでもある。単独で出来なくても地域単位、町単位、または小学校と中学校での学力、スポーツ、文化交流があってもいいと思う。将来のため、保護者も含めてご一考を。   (片)