日本洋酒酒造組合は、酸味料を使用していない梅酒を「本格梅酒」として表示する自主基準を定めた。これまでは「青梅だけを原料とした梅酒」「人工酸味料などを加えた梅酒」も「梅酒」として販売されていたが、県や産地は「消費者が誤認する恐れがある。明確な表示を」と国に要望していた。今後、原料の青梅の消費拡大などに期待される。
 全国的に出回っている梅酒の中には梅果汁のみで仕上げた本格梅酒だけでなく、人工酸味料を加えて増量した合成梅酒があるという。平成14年の梅酒の生産量2万395㌔㍑から23年には3万9141㌔㍑と、2倍近くに増加。これに対し、梅酒用の青梅生産量は14年は5887㌧だが23年は6373㌧と、8%しか伸びていない。こうした現状から「梅酒の生産量増加が青梅の需要拡大につながっていない。消費者も誤認する恐れがある」と、県や紀南地方の産地が国に表示方法の変更を求めていた。このため、国は日本洋酒酒造組合に業界内での表示の自主基準づくりを持ちかけ、同組合で策定に取り組んでいた。
 今回の表示導入を受け、県は「各市町や関係団体と連携しながら、県内の梅酒製造事業者に自主基準の内容を周知するとともに消費者に本格梅酒のPRを図り、特産の梅の需要拡大に努めたい」、みなべ町の小谷芳正町長は「自主基準の策定は生産者にとっても励みになるし、青梅の消費拡大にもつながる」と話している。