御坊市の名田中学校(木村栄一校長)の3年生22人は14日、和歌山地方検察庁の検事らを講師に招き模擬裁判を体験した。
 事件は、女性が自宅で介護していた認知症の高齢の母を首を絞めて殺害。生徒たちは裁判長、検事、弁護人、裁判員など被告人以外の役に分かれて、本物の裁判さながら冒頭陳述や証人尋問、論告・求刑など台本通りに進行した。被告人は殺害を認めているが、「母のためを思って殺害した」と主張しており、情状酌量の余地があるかどうかが焦点。検事側は「育ててもらった親に恩返しすべきところを、首を絞めて苦しませながら殺害するとは残忍。周りの人に助けを求めることもできた」と主張。弁護人は「下(しも)の世話から食事まで、介護はやった人にしか分からない大変さがある。仕事に忙しい夫や姑(しゅうとめ)と同居している妹には助けを求めることができず、1人で背負わなければいけなかった。また被告人は心から反省している」として情状酌量を求めた。
 生徒たちはどちらの言い分が適切かについて意見を出しあった。