県が印南町高串地内で進めている切目川ダム建設工事は、完成したダム堤体の安全性を確かめるための試験湛水に取り組んでいる。水位130.5㍍から湛水を始め、現在は約157㍍で、目標にしている満水の160㍍まで残りわずか。並行して周辺道路整備も進めており、予定通り来春の供用開始へ順調に進んでいる。
 試験湛水は実際にダムの最大貯水位(一時的に貯められる最大水位)まで水をため、水漏れがないかなど堤体や基礎地盤などの安全性を確認する作業。ことし10月20日に工事用の「仮排水路」を閉じ、湛水を開始。水量を調節して洪水を防ぐための2カ所の「常用洪水吐き」も閉じ、満水の160㍍までためている。水位は約2カ月で27㍍上昇するなど順調に推移し、周辺の景色はすっかりダム湖となっている。近いうちに満水に到達する見通しで、同時に行っている基礎地盤などの検査も問題なく進んでいる。満水後は「常用洪水吐き」の底辺周辺の149㍍地点まで水位を下げる。並行してダム湖周辺を走る道路の整備も進めている。
 ダムは高さ44.5㍍、集水面積は21.9㌔平方㍍で、総貯水容量は396万立方㍍。日高川町の椿山ダムのようにゲートを使って人為的に放流するタイプではなく、28㍍地点に2カ所ある幅2.8㍍、高さ2.9㍍の「常用洪水吐き」から水を自然に流すことで、水量を調整し洪水を防ぐ「自然調節方式」を採用している。普段はダム湖側に6カ所ある「選択取水口」を使って必要な水量を取水し、「取水放流口」から流すようになっている。