みなべ町は、津波対策として気佐藤地内に避難センターの建設を計画していることを明らかにした。17日に行われた議会一般質問の中で、小谷芳正町長が中本光一議員の津波避難設備の進捗状況についての問いに「来年度予算で調査費を計上したい」と答えた。南部川河口付近の気佐藤、南道、山内の一部道などは周辺に高台がなく、避難困難地区となっている。
 南部川河口付近の気佐藤、山内、南道地区は海抜が低く、南海トラフの大地震が発生すると、浸水の深さが最大5~10㍍になる場所も発生するというシミュレーションもある。10月には県の避難困難場所にも指定された。猪ノ山公園や高速道路みなべインターチェンジなどの高台までは遠く、南道から猪ノ山(芝)まで健常者でも20分程度かかる。実際に災害が発生した場合、家具の転倒などで避難を開始するまでに数分が経過するとみられ、時間的に津波から避難するのは難しいとされている。
 小谷町長はこれまでの議会でも避難タワーなどを建設する考えがあるという内容の発言を行っていたが、具体的な計画まで踏み込んだのは今回が初めて。中本議員が「避難困難地域の津波避難設備の進捗状況はどうなのか」と質問し、小谷町長は「気佐藤地内に鉄筋鉄骨造りの施設を計画している。敷地面積は150坪(約500平方㍍)、施設は80坪(約260平方㍍)とし、500人から600人が避難できる。来年度に予算を計上し、ボーリング調査を行いたい」と答弁した。建設場所は海抜約8㍍、建物は地上5~6㍍とする方針。順調に進めば、28年度中に完成する見込み。南道の矢間修区長(62)は「南海トラフの巨大地震の発生がいわれているが、現状では避難場所までかなり離れている。津波避難センターができると、安心感につながる」と話していた。