「無事に育って大きく綺麗な花を咲かせてほしい」と願う子どもたち。ササユリが咲く美しい風景の里づくりをしようと、日高川町初湯川のリフレッシュエリア美山の里森林公園に先月20日、地元、笠松小学校児童や愛徳老人クラブ、町関係者ら約40人がササユリの球根を定植した。参加者はスコップやクワなど使って10㌢程度の穴を掘って、無事に美しい花を咲さかせることを願いながら1個ずつ丁寧に球根を植え込んでいた。
 町ではバイオセンターがバイオササユリの球根を増産、特産化に成功した。筆者も毎年農家の定植作業、目揃え会、球根の販売など取材するため、ピンクで可憐なササユリにはとても親しみを感じる。だが、自然の山々に自生するササユリは見たことがない。自然がいっぱいの日高川町では、かつて自生のササユリが多く見られ、地元民に親しまれていたらしいが、乱獲やイノシシ、シカによる被害が原因で激減してしまったという。いまさらながら残念でならない。
 バイオセンター中津では、かつてのようにササユリが咲く美しい里を取り戻そうと、数年前からバイオササユリを植栽する事業を始めている。坂野川の竹林内の小径「景子の夢の道」ではシーズンになると百本以上の花が咲くようになり、今回、県の補助を受けて2700個もの球根を定植した森林公園でも以前から植栽が進められている。この地は、日本一長い藤棚ロードでも知られるが、かつて多くの自生のササユリが咲いていたところで、条件的に申し分ない。いつか4月下旬から5月はフジ、少し遅れてササユリが咲き誇る。そんな日本一のササユリの里になることを、笠松小学校の児童とともに心から願っている。    (昌)