みなべ町と西日本高速道路㈱(NEXCO西日本)関西支社和歌山高速道路事務所は29日、「津波緊急避難における高速道路区域の一時使用に関する協定」を締結し、同町徳蔵地内のみなべインターチェンジ(IC)の駐車場などが津波の避難所として活用できるようになった。西日本で5例目、近畿地方では初めて。地元の自主防災会長らは「近場に避難所となる高台が確保できて、心強い」と喜んでいる。
 みなべインターチェンジは海岸から1.6㌔の地点にあり、平成25年3月に県が公表した南海トラフ巨大地震の津波浸水想定では周辺地域の浸水深は0・3~5㍍と想定されている。津波からの緊急避難が必要な地域だが、地元の徳蔵区や新庄区などには近場に適当な避難場所がない状態。このため、両区は周辺地域よりも約7㍍高い場所にあるIC駐車場(海抜12㍍)を避難場所として活用することを、NEXCO西日本に要望していた。
 調印式は役場で行われ、小谷芳正町長と同事務所の松永佳弘所長がそれぞれ協定書に署名、押印。使用範囲はIC料金所従業員駐車場や道路などの約300平方㍍で、使用料は無償としている。協定は同日から有効となった。小谷町長は「周辺地域の住民はこれでひと安心できると思う。町としても防災対策に力を入れていきたい」、松永所長は「災害時に、役立つ道路であり続けたい」と話した。地元の新庄区自主防災会の田口訓生会長(42)は「近くの高台となる山に避難するにも、津波の遡上が懸念される河川がある。近くのインターチェンジが避難所に活用できることは心強い」、徳蔵区自主防災会の片岡延行会長(58)も「いままでの避難訓練では海抜の低い集会所に集まっていたが、これからは安心できる」と話していた。