文部科学省が公表した全国学力テストの児童生徒アンケートで、携帯電話やスマートフォンによる通話やメール、インターネットなどの使用時間が長いほど成績が低くなる傾向があることが報じられていた。中3では一日4時間以上使う生徒は30分未満の生徒に比べて数学の正答率が20%近く低くなっていた。スマホなどに時間を費やす分、勉強の時間が減るため当然といえば当然だが、便利すぎるということもあるだろう。大人も学力こそは測定していないもものの、記憶力低下は実感している人も多いのでは。筆者もちょっとした雑用でもスマホのスケジュールに登録しておかないと忘れてしまったり、地図機能を使うためまったく道を覚えなかったり。またスマホだけの影響ではないが、漢字を思い出せないことが多い。
 そんな中、先日切目中学校で行われた芥川賞作家辻原登さんの講演で、漢字のことが取り上げられていた。もともと日本には言葉はあったが、文字がなかった。そこへ中国から漢語が入ってきた。例えば漢人に雪を見せては文字で表現してもらいそれを日本読みするなど、さまざまなものを漢字で書いてもらい取り入れていったという。そのため漢文は外国語でありながら日本語でも読むことができる。こういった文字を持っている国は非常に珍しいという。さらに漢字はエジプト、メソポタミア、インダス、黄河の世界四大文明の文字のうち唯一現在まで残っている。その理由は漢字は無限に文字を作っていくことができるからという。インターネットメールなどの普及で、文字を書く機会が減ってきている昨今。こういった文字の歴史を振り返り、あらためて漢字の良さを見直したい。         (城)