日高川町議会9月定例会は17日午後再開。執行部は一般質問のなかで、和佐のかわべ天文公園について、プラネタリウムシステムの更新に1億円以上の費用がかかることや天文担当の主任職員が退職したことなど受け、天文施設の今後の運営(存続)を検討する考えを明らかにし、場合によっては一時的に休止する可能性も示した。年間2000万円以上の赤字施設の今後が注目される。
 天文公園は平成8年に開園。現在は、委託先の㈱本家さぬきやが他の町内観光10数施設とともに管理・運営している。口径1㍍望遠鏡などの設備を備え、プラネタリウム観賞ができる全国屈指の天文施設に、宿泊もできる観光的な要素も兼ね備えた施設でありながら、経営面は長年不振が続く。そんななか、夜空や宇宙の再現で星や天体に親しめるプラネタリウムはシステムの老朽化が著しく故障しがちで、1億2000万円の更新費が必要な状況。さらに8月末に天文担当の主任職員が退職、天文担当の職員が1人だけとなったことに伴い、平日のプラネタリウム投影や観望会が少なくなるなど影響も出始めている。この日、天文公園について質問したのは小畑貞夫議員。「天文担当の主任職員が退職し、望遠鏡やプラネタリウムは専門的知識がある人でなければ魅力を十分に発揮することができない。このことは天文台の存続に関わる重要な部分。今後は天文台を含め天文公園全体をどのように町の観光資源として活用していくのか」と質問。これに対し、市木久雄町長は「県内では2カ所の天文台の一つで立派な施設、設備を備えた公園であるが、収支とともに施設の老朽化が課題になっている。特にプラネタリウム設備は早急に更新する必要に迫られている」と現状を説明。続いて「宿泊業務やレストランについては合宿誘致などで収支の改善につなげていく方向性になると思うが、天文施設については収支面や施設の老朽化といった課題、町内外に果たしてきた役割などの観点からいままでの運営方法がベストなのか、今後どのうような方法が考えられるのかなど検討していく必要がある」と回答。担当の企画政策課の熊代夏樹課長は天文施設の維持費が人件費や設備の保守点検費などで年間約1700万円の費用がかかっていることを説明し、「今後の状況によっては一時的に休止せざるを得ないこともありえる」と理解を求めた。小畑議員は「天文機能がなくなればただの宿泊施設になってしまう。全国屈指の施設なのだから、安易に中止するのではなく、運営方法を見直して県内外に魅力を発信する施設として続けていってほしい」と要請した。