みなべ町議会産業建設常任委員会(下村勤委員長)は定例議会最終日の26日、委員会発議で梅干しの消費を推進する「みなべ町紀州南高梅使用のおにぎり及び梅干しの普及に関する条例(梅干しでおにぎり条例)」を提案する。梅干しを使ったおにぎりを奨励することで、梅の消費拡大につなげることが狙い。17日には役場で意見交換会を開き、同委員会メンバーと梅産業の関係者ら15人が条例の活用などで話し合った。
 同委員会で条例を提案。条例を制定して梅干しの地産地消を進め、全国に発信していこうという狙い。条例案は5条からなり、町・生産者・事業所の役割と町民の協力などについて明記されている。町の役割では「生産者及び事業所との連携を図り、梅干し等の梅製品の普及促進に必要な措置を講ずる」、生産者の役割では「全国ブランドとしての紀州南高梅の価値をさらに高めるため、高品質及び安定生産を目指すとともに生産物の安全性及び安心の信頼性の確保に努める」、事業者の役割では「おにぎり用梅干し等の新製品の研究、開発等を推進し、その商品の普及促進に主体的に取り組むよう努める」、町民の協力では『梅干しでおにぎり』及び梅干し等の梅製品の普及促進に協力し、町民自ら健康の増進に努める」などとしている。施行は10月1日からで、全国で初めての試み。宣言条例で、罰則の定めはない。
 17日に開かれた関係者との意見交換会には産業建設常任委員の議員7人、紀州梅干生産者協議会、紀州梅干組合、JA紀州、行政らの関係団体から8人が出席。冒頭、下村委員長があいさつで「基盤産業である梅産業は近年価格の低下や消費量の減少で地域経済に深刻な影響を与えている。条例を制定して梅の消費拡大を図り、梅製品の販売促進に努めたい。みなべ・田辺地域世界農業遺産登録が実現すれば付加価値が加わり、新たなビジネスの展開の可能性がある」と趣旨を説明した。このあと制定後の活用方法について意見を交換。出席者からは「月1回でも給食のメニューに提供してはどうか」「B級グルメのようなイベントを展開し、梅干しのおにぎりをアピールする方法もできる」「梅干しの日を制定することも可能」「災害避難訓練で炊き出しに梅干しのおにぎりをつくってもらうように働きかけをすれば盛り上がる」などの意見が上がった。下村委員長は「前向きな意見を聞くことができた。制定後は、各種団体などに条例を活用した取り組みを働きかけていきたい」と話していた。