先日、印南町で避難所運営リーダー養成講座が開かれ、自主防災会の役員らが避難所運営ゲーム(HUG)で、避難所での避難者の管理を学んだ。HUGとは大きな画用紙を学校などの避難所にみたてて、そこに避難してきた人や車がカードとなって配られ、スペースを考えながら配置していく。避難者の中には車椅子利用者や妊娠中の女性、病気を患っているなどの人がいるほか、車で生活したい、グラウンドにテントを張りたいなど要望もさまざま。トイレやペットを置く場所、支援物資置き場なども確保しなければならない。印南町では8、9人ずつ1グループになってそれぞれの対応を考えた。
 印象的だったのは、各グループとも配置に積極的に意見を出し合っていたこと。「トイレはどうする」「グラウンドの隅でいいんじゃないか」「女性はそうもいかないだろう」など、グループによっては笑い声も聞こえていたぐらい。避難者が増えてきてからは、配置に頭を抱えながら「あーでもない」「こーでもない」といろいろ知恵を出し合い、はたから見れば不謹慎かも知れないが楽しそうにも見えた。
 防災対策といえば、避難やワークショップ、講師を招いた講演会なども大切だ。ここ数年は東日本大震災の影響もあり、防災意識はかなり高い水準になってきたようにも思える。しかし大地震は何十年後にやってくるかわからず、この意識がいつまでも続くとは限らない。防災に大切なのは、知識だけでなく地域住民の高い意識。今回のHUGは避難所運営を学ぶだけでなく、そんなマンネリ化対策にも役立つのではと、身を乗り出して夢中になってゲームに取り組む参加者の姿を見て感じた。   (城)