平成23年9月3日から4日未明にかけて死者3人、行方不明者1人、家屋の全半壊120軒など日高川町に大きな被害をもたらした台風12号豪雨から3年が過ぎた。当時、日高川の氾濫で町の一部はのみ込まれ、家屋は倒壊し、道路は崩壊。被災後町を訪れたが、あまりの大きな爪痕に声を失った。あれから3年、すさまじい速さで復旧を遂げ、元の美しくのどかな町並みに。残っている復旧に関する工事は日高川の河川と一部橋梁の改良事業だけとなった。
 日高川では改良工事が急ピッチで進む一方、振り返って山に目をやると、各地で土砂災害対策が行われていることに気がつく。広島市で発生した土砂災害への対策に関心が高まるなか、あらためて見てみると谷には砂防ダム建設が進み、山ののり面は舗装され、家屋の裏山には擁壁を設置。
土砂災害が懸念されるところは、事業で集落や家屋をガードしているのが分かる。3年前の台風では各地で崩土が発生したが、これらによる住宅被害はわずか数軒で人的被害はなかった。船津の砂防ダムでは多くの土砂をせき止め集落への流出を防ぐなど威力を発揮。大規模な山崩れが発生した昭和28年の水害のような被害は起こさせなかった。
 日高川町の場合、894の土砂災害の危険箇所があり、このうち286個所が警戒区域。ただハード対策にも限界があり、危険個所のすべてで対策をするのは到底不可能だ。各自治体は警戒区域をハザードマップに反映させ、住民周知を徹底させるソフト事業も重要だ。そして住民一人一人も防災意識を高め、前方の川、後方の山を踏まえた日ごろからの知識と備えが大切だということを台風12号豪雨などさまざまな災害を通じてあらためて思い知らされた。(昌)