最近、芸能人やスポーツ選手が氷水の入ったバケツを頭からかぶる「アイスバケツチャレンジ」がテレビなどで報じられている。ALS(筋委縮性側策硬化症)という難病に対する認知度をあげ、患者と患者団体を支援するためのチャリティ活動とのこと。ルールは指名された人が寄付をするか、氷水をかぶるかを選択し、次の3人を指名するというもの。7月末にアメリカの元大学野球選手が行ったことが発端となり、ビルゲイツ、スピルバーグ、レディガガなど各界の著名人が参加。日本でも歌手や芸人、大手企業の経営者らがこぞって氷水をかぶっている。氷水をかぶる姿はテレビでよく報じられているがそもそもALSとはどういった病気なのか。
 厚生労働省からの補助を受けている難病情報センターのホームページによると、手足やのど、舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がなくなっていく病気とのこと。全国では約9000人が患っており、男性が多く、年齢層では60~70歳代が多い。人工呼吸器を使わない場合、病気になってから死亡までの期間はおおよそ2~5年。そして驚いたのは、和歌山県南部や三重県など紀伊半島での発症事例が多いということ。現地では昔から牟婁病として知られており、現在においても全国的に発生率が高いという。
 アイスバケツチャレンジは「水の無駄遣い」や「売名行為」「心臓に悪い」などさまざまな批判的な意見も出ており、病気の啓発より氷水をかぶることだけが独り歩きしているような気はいなめない。ただ筆者としてはALSについて調べるきっかけになったことは確かで、実際寄付も増えているとのこと。問題は、一過性のブームに終わってしまわないかということだろう。     (城)