今月9、10日の台風11号の豪雨でまたまた氾濫し、流域一帯を大きな池のように冠水させた御坊市湯川町の東裏川(富安~丸山)では、管理する県が昨年から下草刈りやしゅんせつなどを行っているが、抜本的な氾濫対策につながっていないのが現状。日高振興局では「日高川水系河川整備計画を策定する中で、水のくみ出しポンプの運用を含めた対策を協議したい」と話しており、今後の対策が注目される。
 かねて氾濫を繰り返している東裏川の対策については、地元住民が昨年7月、県に対して強く要望。県ではすぐに国道42号より上流の地区で水の流れをスムーズにするため下草刈りやしゅんせつを行い、先月も下草刈りをしたばかり。さらに、3年ほど前から国道42号のすぐ下流で延長320㍍にわたり護岸ブロックを設置して河川幅を広げる工事も進め、残り50㍍分の工事が本年度中に完成することになっている。こういったことから、今回の台風11号でも上流の地区では一定の増水抑制効果がみられた。しかし、下流の丸山地区ではやはり流域の道路や田畑が冠水。一時的に孤立してしまう住宅もあった。
 ところが、振興局によると、この下流域の氾濫対策としては、単にしゅんせつをしたり、河川幅を広げたりするだけでは解決できない問題を抱えている。例えば水の流れがスムーズになっても、東裏川の水は西川につながっているため、西川の水位が高くなると東裏川に水が逆流してくるという。この対策として考えられているのが、西川に通じる部分にある水門を閉めて、既設のポンプで東裏川の水をくみ上げて西川へ流す方法。現在、振興局が効果検証のため机上でシミュレーションを進めている。ただ、ポンプの運用で心配されるのが、今度は美浜町側の西川流域にある住宅の浸水で、御坊市と美浜町の自治体の枠を越えた協議も必要となる。振興局建設部の笠野和男部長は「これらさまざまな問題を踏まえながら検討が必要。関係市町や民間などの日高川を考える会が内容を協議する日高川水系河川整備計画の中で、ポンプの運用を含めた一定の方向性が示せると思う。計画策定には3年程度かかる見通し」と説明している。いずれにしても地元住民らは早期対策を望んでいる。