日本人の平均寿命が過去最高を更新したという。女性は86・61歳で世界一、男性も初めて80歳を超えて80・21歳となった。初めて調査した明治24年~31年の平均寿命は女性44・3歳、男性42・8歳だったことを考えると、100年余りで約2倍になった。医療の進歩で病気の治癒や昔とは違って新生児の生存率が格段に上がっていることが大きな要因だが、温暖な気候、豊かな自然、豊富な食材も当然関係しているだろうし、豊かな国を象徴するかのようで少し誇らしい。厚生労働省によると、医療技術の進歩で今後も平均寿命は延びる余地があるという。50年、100年先には90歳、100歳時代が来るかもしれない。
 別のデータを見ると、50年後の日本の人口は9000万人を下回っている。少子化が進んでいるのだから当然だ。逆に高齢化率は高くなる一方で、50年後には40%近くに達する。50年後といえば筆者が生きていれば90歳。長寿はありがたいことだが、働き世代が減るのだから社会保障もどうなっているのかと考えると少し恐ろしい。年金は?医療費は?、果たして快適な老後は送れているのだろうか。
 日本経済団体連合会のまとめによると、大手企業133社の夏のボーナスの平均額は86万円を超え、伸び率はバブル期以来の高い水準になった。アベノミクスだと都会では好景気に浮かれているようだが、地方の端の端まで行き届いてこそ国の施策だろう。給料は上がらないのに、ガソリンに代表されるように物価は上がる、庶民の生活は苦しくなる一方だ。この先日本はどうなっていくのか、政治や行政にかかわる方々は10年、20年、50年先にどんなビジョンを持っているか、そのためにいま何をすべきかを示してほしい。    (片)