27日に行われた第96回全国高校野球選手権石川大会決勝の結果を知って、本当に驚いた。夏の甲子園で箕島と延長18回の死闘を繰り広げ、元大リーガー・松井秀喜さんの母校としても知られる古豪・星稜が、小松大谷と対戦。0―8で迎えた9回裏、一挙9得点し、大逆転サヨナラ勝ちを飾った。1イニング9点もあまり見かけるものではないが、それが甲子園をかけての決勝、さらに8点を追いかける展開、土壇場の9回裏で記録されるとは。仮に準決勝までなら8点差は7回コールド負けだったらしく、まさに大一番が生んだ奇跡といえるだろう。
 8回まで被安打2の相手投手が9回に左ふくらはぎをつるアクシデントで降板などもあったが、やはり最後まであきらめずに全力プレーを怠らなかったからこその結果だと思う。とくに暑さ厳しいとき、「まさか」の事態は起こりうる。ゲームセットまで集中力を切らさなかったのが素晴らしい。
 26日に決勝だった和歌山大会。こちらも星稜に負けず劣らずの大熱戦の末、市和歌山が3―2、延長12回サヨナラ勝ちで智弁和歌山を下した。過去20回の決勝で一度も敗れたことがないという不敗神話があった智弁和歌山。市和歌山は11回2死から追いつくなど粘り強さが光った。試合前、智弁和歌山が敗れる姿は想像できなかったが、あきらめずに全力を尽くせば何かが起こると思い知らされた。
 球史に残る名勝負といわれる箕島―星稜を甲子園で観戦して以来、高校野球が好きになった筆者。石川、和歌山の決勝を目の当たりにした人たちも同じように感動し、元気や希望を得られたと思う。次は夏の甲子園。どんな好ゲームが繰り広げられるのか、開幕が待ち遠しい。    (賀)