先日、日高川町の南山スポーツ公園陸上競技場で「紀の国わかやま国体」のアーチェリー競技のリハーサル大会が開催されたが、会場で振る舞われた芋茶がゆが近畿各地からの選手や関係者に大好評だった。町生活研究グループ連絡協議会が調理し、㈱紀州農園が茶がゆと相性抜群の梅干しを提供した地元団体と企業がスクラムを組んでのおもてなしだ。〝おかいさん〟を珍しがる人が多かったが、両日で用意していた400食がなくなる人気ぶり。何度もおかわりする人も見受けられた。
 おかいさんは、和歌山や奈良、三重と大阪の一部でかつて常食となっていた。筆者も小さいころからおかいさんが好きで、日高川町の祖父母宅を訪れては、のりの佃煮や昆布などとともに食べていた。祖父母宅では常食で、白ご飯を炊くことの方が少なかったようだ。このように日高地方でもなじみが深いおかいさんであるが、やはり他地域の人には珍しいようで、昭和46年の和歌山黒潮国体で、和歌山県選手団の一員として群馬県から来ることになったバドミントン選手は、事前に「いまだ茶がゆを食べている地域」と聞かされ、「どれほど田舎なのか」と思ったそうである。この選手は国体をきっかけに和歌山で暮らすことになったが、家族ともどもおかいさんが大好きになった。
 連日の厳しい暑さで食が細くなりがちだが、冷たい茶がゆはのどごしがいい。白ご飯を茶碗1杯食べるのに四苦八苦しても、おかいさんなら2杯、3杯と食べられ、和食のおかずと食べれば最高だ。最近、食べる機会が少なくなったが、食が進まぬ時はおかいさんで暑い夏を乗り切るのがいい。来年の国体本番でも振る舞い、全国の大会関係者にも味わってほしいと思う。  (昌)