「ことし上半期(1~6月)に日本を訪れた外国人が前年同期を26・4%上回る626万400人になった」と大手新聞などで報じられた。調査を開始した昭和39年以来過去最高で、通年で初めて1000万人を超えた昨年を大幅に上回るペースとなったという。要因は昨年7月にタイやマレーシアから訪れる旅行者の観光ビザ(査証)を免除したこと、航空各社がアジアを中心に旅客便を充実させたことなどで、円高が続いているのも影響しているとしている。
 以前もこの欄で書いたことがあるが、外国人観光客からみた日本人は規律や礼儀が正しい民族に映るそうだ。インターネットでは「通りがかりの人に目的地までの行き方を尋ねても親切に教えてくれる」「落とした物が無事に戻ってきた」などという外国人の書き込みもみられる。
 日本人の規律や礼儀正しさは幼い頃からの教育が大きいのではなかろうか。先日、みなべ町の白梅幼稚園の子どもたちが近くの光明寺で仏教行事の百万遍念仏を体験した。その様子を取材したのだが、保育士の指導で子どもたちが本堂に上がる前に階段で脱いだ靴をきちんと並べ、住職から百万遍念仏についての説明を聞く時も正座して静かに座っていた。こうした大人からのしつけが知らず知らずに美徳として育まれているのだろう。
 一昔前までは大人は自分の子ども以外でも注意し、叱った。しかし近年は子どもを注意する大人が少なくなっているという。そういう意味では子どもへの教育力が低下しているといえる。さらに人間関係も希薄になりつつあり、古来から伝わる日本人としての美徳や精神が失われつつあるのかもしれない。    (雄)