近年は日高地方にも観光、交換留学、労働などで大勢の外国人が訪れている。先日も、ドイツやアメリカから訪れている高校生がみなべ町で書道体験にも挑戦し、日本文化に触れた。また、ライオンズクラブの制度を通じてインドネシアの女性が来日し、同町で生活を送っている。先月には働きながら過ごすワーキングホリデーの制度を活用した外国人が梅の収穫にも励んだ。一昔前はこうした光景はほとんどみられず、当地方では外国人は珍しかった。それだけ日本や日本の各地方が世界で注目され始めたということだろう。
 インターネットのニュースによると、近年は日本人や日本の文化などが外国で人気だという。日本を訪れた外国人らは「治安がいい」「電車など交通機関の到着時間が正確」「人々がとても親切」などという印象を受けているという。実際、東日本大震災の時には日本人の規律ある振る舞いや勤勉さが世界を驚かせたのも事実だ。
 しかし日本に住んでいると、外国人が言うほど治安がよく、日本人が勤勉なのかと首をかしげてしまうこともしばしば。殺人事件が連日のように報道されているし、人をだまして金品を奪うという行為も後を絶たない。それでも外国と比較すると、住みよくて人間味ある社会が保たれているのだろうか。
 いままで日本人は外に目を向け、海外の新しいものを貪欲に取り入れてきた。しかし、日本の良さを発信するという部分では積極性に欠けていたのではなかろうか。多くの外国人が日高地方にも訪れているいまが、当地方の魅力、温かみのある人間性を海外に発信するチャンスである。       (雄)