御坊市は、7月から第6期介護保険事業計画の策定をスタートさせる。注目される介護保険料については、今後算定していくことになるが、高齢化に伴い介護給付費が増加予想となっていることや第5期で取り崩した介護給付費準備基金の残高が残り少ないなどの要因のほか、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者を迎える全国的な「2025年問題」も控え、引き上げは避けられない状況となっている。
 御坊市の介護保険料基準月額は制度がスタートした12~14年度の第1期計画で2983円。以後、3000円台、4000円台となり、24~本年度の第5期では第4期から一気に1000円以上アップの5440円となっている。これは日高圏域で特養などの増床が相次ぎ、サービス利用増に伴い介護給付費も大幅に増えたのが要因。ただ、市の場合は介護給付費準備基金から7000万円を取り崩して、引き上げ幅を300円程度抑えた経緯がある。
 27~29年度の第6期計画での介護保険料は、まだ概算も出されていないが、担当課によると、さまざまな要因から引き上げの可能性が高いと考えられる。市の介護給付費は12年度が約11億円だったのが、高齢者と介護サービス利用の増加で26年度は2倍以上の25億円にまで跳ね上がっており、今後もさらに増加していくと予想。また、団塊の世代が75歳以上を迎えてさらに介護、医療、福祉サービスの需要が高まる「2025年問題」により、介護サービスの利用増にも拍車がかかることが予想される。さらに、御坊市では保険料引き上げ抑制の頼みの綱となる介護給付費準備基金の残高が25年度末決算見込みで6000万円程度。仮に残り全てを取り崩したとしても、現行料金を維持するのが精いっぱいで、25年度に比べ一層介護給付費が増加していくことも加味すれば引き上げは必至となる。このほか、日高川町の特養老人ホーム白寿苑が10床を増床する計画で、これも日高圏域全体の保険料アップにつながってくる。
 一方、保険料引き上げ抑制の要因として国の法改正で要支援1、2の対象者について介護報酬を減らすというのがあるが、もともと市内の要支援1、2の対象者が200人と少ないため、大きな抑制効果は望めないという。保険料の予想は現段階ではできないが、数百円から1000円を超えるようなアップになる可能性もありそうだ。
 ただ、市の保険料は県内自治体でみれば平均的な金額。日高地方で最も高いのは美浜町の5720円、次いで日高川町の5710円、由良町の5690円となっている。
 御坊市は7月中に事業計画策定委員会を開き、来年2月までに原案をまとめる。保険料改定などを盛り込んだ条例改正は3月議会で上程する。今回の計画策定に向けては、これまで国、県が実施していた要支援1、2の訪問介護、通所介護事業が自治体に移行されることから、職員の事務量増加、事業指定・委託先の受け皿確保なども課題となる。