平成26年度第1回市民教養講座は25日、御坊市民文化会館大ホールで開講。東進ハイスクール・東進衛星予備校現代文講師の林修さんがコミュニケーションをテーマに語った。 流行語となったテレビCMの「いつやるか? 今でしょ」で有名な林さんの講演を聴こうと、会場はほぼ満席。林さんは「本当はビジネスでのコミュニケーション力など話すつもりだったが、客席の皆さんを見ると試験より健診を受ける方が多い年代のようなので、内容を急きょ変更します」と、家族関係を例にコミュニケーションについて語った。父と息子・父と娘・母と息子・母と娘の4パターンを挙げ、「父と娘、母と息子は基本的に仲良し。母と娘は反抗期などには大変だが、ある年齢に達すると急に仲良くなる。一番難しいのは父と息子。人をつなぐのは愛と尊敬だが、愛が意外ともろいのに対し尊敬は一度得ると強い。『うちの親父なかなか大したもんだよ』と思わせたら勝ち。それには日常生活をきちんとすること」などアドバイス。「人は、『この人なら分かってくれる』と思った時に初めてその人の言葉を本気で聞く。話を聞いてほしいならその人を観察し、理解して、まず人間関係を構築することが大事。いかに相手のゾーンに入っていくか」とし、「ぼくの仕事には固定客がいない。予備校だから、毎年来ている固定客がいると逆に評判が悪くなってしまう」と笑わせ、「毎年新しい生徒に『どう言えば通じるのか』と観察し、工夫して授業しているからこそ23年も続けられている」と話した。「ぼくがスタッフを選ぶ時に基準にしているのは行儀のよさ。正面から人とちゃんと向き合うことができるか。靴をきちんと磨く時と同じ。『磨く』と『こする』は同じような行為だが、正面からそれに向き合い、丁寧にやらないときちんと磨くことはできない。人と人の間に摩擦が生じるのは、人間関係を『磨く』のではなく『こすって』いるから」と持論を展開。子育てについて、母方の祖母の力が特に大きいとし、「皆さん、かわいい孫には丁寧に生きること、正面から人と向き合う力をつけることを教えてあげてください」と呼びかけた。最後に「きょう聴いてくれた中で一つでも役に立つことがあったらそれはいつやるの、今でしょ」と締めくくった。