ことしは日本とスペインの交流が始まって400年、熊野古道の世界遺産登録から10周年となり、和歌山県から下宏副知事を団長とする文化交流団がスペインを訪問した。日高地方からも道成寺の小野俊成住職(52)が参加し、500年の歴史を誇るサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学などで絵解き説法を披露。小野住職は今回が4回目の海外での説法となり、安珍と清姫が日高川から海を越え、ついに地球を一周した。
 サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂では和歌山の伝統、精神文化を紹介する和歌山文化プロモーションがあり、熊野速玉大社の神楽「神なぎの舞」や那智山青岸渡寺の熊野修験者による法螺貝演奏などが多くの市民やマスコミ関係者を魅了。道成寺の小野住職もガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学とマドリードで絵解き説法を英語で披露した。
 小野住職は22年前の1992年、アメリカのワシントンで開かれたコロンブスアメリカ大陸到達500年記念展で英語の絵解き説法を行ったのが初の"海外公演"で、その後のカナダ、韓国に次いで今回は4回目の海外。「最初のコンポステーラ大学は、教授や職員ら大学のスタッフばかり約200人の前で絵解き説法をさせていただきました。なんといっても500年の伝統を持つ大学ですから、講堂も重厚な雰囲気が漂い、説法もあまり笑いはなかったですが、2度目のプロモーション会場は、客席が観光関係者ばかりだったせいか、皆さん、ゲラゲラ笑っておられました」と振り返り、「これで大西洋はまたいでいませんが、安珍・清姫の絵解きがアメリカ、アジア、ヨーロッパとほぼ地球を一周できたということになりますね」と話している。